比較の仕方の話

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3連休ですねー。いかがお過ごしでしょうか?
さて、最近少し気になることがあるので、
たまには日記のようなものでも書いてみよう
かなと思います。ここで書かなくてもいい
かなとも思うんですけど、どこで書いても
変わらないですしね・・・

ちょっとタイトルが簡素すぎてアレですけど、何かと何かを比較する事の話です。全然考えがまとまってないし、そもそも行動分析の専門家でもなんでもないので特別な内容ではありませんけど、まぁただの日記ですので細かいことは気にしないで下さい。

人が比較する理由

比較というのは何かを何かを比べる事で、人が何かを比較する理由は、基本的には差をはっきりさせるためです。それにより優劣を決めたり、何が違うかを可視化しやすくなるわけですね。分かりやすい例だと

  1. 物の価値や値段
  2. 人や動物の容姿や性格など
  3. データ分析に使用するファクターの一つ

なんかを分かりやすくする為に用いられたりします。比較することで優劣をはっきりさせ、その後のアクション、たとえば購買などに繋がったりします。

ただ、比較すること自体当たり前すぎて検証も不十分なのにその比較結果を鵜呑みにしてしまうケースが多くみられると感じている方も多いのではないかなと。

「比較結果」があると、人は凄くだまされやすくなるんですよね。そんな経験は無いですか?

じゃあちょっと例を出してみます。

Example.1:パソコンの値段を店別で比較


例えばノートパソコンを探していたとします。このように2店を比較した図があたっとして、これなら誰でも安いほうを選びます。

じゃあ、以下のような比較方法ならどうでしょうか。

ちょっと話が違ってきますよね。さっきより迷うのではないかなと思います。

かなり分かりやすい例でしたが、この手の検証不十分な比較を見かけるのは日常茶飯事ですよね。

Example.2:倍率

Web屋さんがよく見かけてるんじゃないかな、という例を挙げてみます。

よく見かけるコピーですね。○○する前と○○した後の比較です。○○したほうがアクセスアップにいいよ、という話ですが、たとえば

10PVの80倍で800PVになりました

と、

100万PVの80倍で8000万PVになりました

では全然違うわけですが、倍率は同じなので言い回しは間違ってはいません。

更に言えば

100万ユニークユーザーの80倍で8000万ユニークユーザーになりました

だともっと話が違ってきますし、そもそも最初から利用した解析ツールすら明示されていません。冷静に考えれば情報が不十分すぎて優劣の結論を出せませんよね。

パッと思いつくだけでも以下の情報が有ると無いでは随分話が違ってきてしまいます。

これは、この比較結果を提唱している人物にしかデータの詳細が分かってない事や、比較する際に利用するツールが決まって無い事に問題があります。極論を言えば自作の解析ツールで水増ししても法的に問題があるわけではありません。

元々のアクセス数やツールが明示されていれば○○したほうが良いかどうか正しく判断できますが、曖昧な情報しか明示されていませんので、人によっては勝手に自分にとって都合の良い方向を妄想し、「おお、凄い!80倍か!自分のサイトでやれば~PVになるな!」と脳内で結論付けてしまいます。アクセスアップ関連の記事に飛びつく方に良く見られるかもしれませんね。

このように、比較結果というのは案外人を騙しやすい方法として認識されており、よく使われるマーケティング手法でもあるわけです。あえて曖昧にする、みたいな感じですね。マスコミさんも良く使う手段です。

もう一つ挙げてみます。

Example.3:擬似的に良く見せる

これもよく見る手法です。

Aはダメな点がある。だからBのほうが優れてる、という比較方法。要は、一方を下げることで優劣を可視化している事になります。茂木先生もこの比較法を使っているように思えましたが、単に主観の入った比較、というだけのケースも多くあるかもしれません。

優れているかどうかはさておき、「Bが優れているとは限らない」のに、一方の評価を先に落とすことで、さも、贔屓している方の評価が高いように擬似的に見せる、という手法も良く見かけます。どこのスクールがだめとかどこのセミナーがダメとかどこのOSがダメとかどこの書籍がダメとか。

Aが劣っているからといって、Bが勝っている保障があるとは限りませんし、他の視点ならAのほうが勝っている場合もあるでしょうが、この比較を提唱している人は「Aがこういう理由で劣っている」としか言わないので、聞いている側は十分な理由も無いのに「じゃあ、Bのほうが優れているんだな」という錯覚を引き起こす可能性があります。

最後に、人の能力の比較の例です。

Example.4:能力の比較で擬似的に上に見せる

例えば能力で比較する際に、相手のダメな点をあげている人がいたとします。

これは、ただ相手の文句を言っているように見えますが、自分と比較しているケースも考えられます。「(自分と比べて)Aさんは能力が無い」という比較対象が隠されているケースですね。いわゆる斜め上目線というヤツです。こうすることでこの言葉を聞かせている周囲の人は、優れた能力の持ち主と錯覚する場合もあります。逆効果になる場合もありそうですが。

本当に優れた能力を持っているならその能力をアピールすればいい話で、誰か、何かを落とす必要は全く無いはずです。例えば履歴書に誰かと比較した自己アピールをするでしょうか?「学年でトップでした」とか。しませんよね。「その学年の平均偏差値はどれくらいで、学生は何人いたの?証拠の書類ある?」と突っ込まれたら答えるのは難しそうです。自信が無い、評価して貰えてるかどうか不安などの理由でこの比較をする方もよく見かけるかもしれません。

能力というのは需要によって価値の無いものにも、重要なものにもなります。高度な技術を持つ外科医がいたとして、他の外科医といくら比較されたとしても、聞いてる相手が健康な人ならなんの意味もありません。

基本的に人の能力を比較するのはナンセンスなのかもしれませんね。

比較する必要があるかどうか

最初にも書きましたが、比較するという事は、差をはっきりさせるためです。じゃあ、なぜ差をはっきりさせるか、ですが、単純にデータとして必要不可欠な場合もありますし、情報の可視化目的もありますし、いろいろと理由が分かれてきますけど、多くの場合は優劣を決めるファクターの一つとして比較結果を使用します。

なぜ優劣を決める必要があるかというと、その先に選択肢があるからですね。受験する学校の選定とか、購入するならどちらがお得かとか、あの人のほうがかっこいいから付き合いたい、とか。

基本的に何かの良さをアピールするのに、本当にその対象が優れているなら自信を持って良い点をアピールすれば済む話だと思うんですが、比較対象をけなすことで、贔屓してる側や自分のプロダクト、能力、サービスを擬似的に底上げし、擬似的に大きく見せる為の比較は中身も無く、本人の自己欲を満たすだけが目的の非常に下等で低劣な手法かなと個人的には考えています。見方を変えれば消去法で決めたことになりませんか?Aがダメだから仕方なくB、みたいな。自分が贔屓してるプロダクトやサービスの評価が出来ていない事になりませんかね?そうとも限らないかもしれませんけど、そういう見方も出来てしまいます。本人以外だれも幸せになれないような。

今見ている比較結果は何のため、誰のための比較なんでしょうか。

「~だろう」ではなく「~かもしれない」

少し前にデザインを比較した記事が話題になっているのを見かけました。たしかに、修正前のデザインは分かりにくく、修正後には多くの方にとって分かりやすくなったかもしれませんし、そういう検証を行うのは勉強になるかもしれません。

ですが、修正前と後を比較して、元のデザインをしたデザイナーさんを「出来ないデザイナー」と決め付けるのはちょっと違うかなと。クライアントさんに無理を通された、予算、スケジュールなどの理由で泣く泣く本意ではないデザインになってしまったかも知れないわけです。要は全然比較する為のファクターが欠けすぎているんですよね。それを、個人的な邪推で会った事も無いデザイナーさんを罵り、晒しあげる光景はなんとも狂気に感じます。この世の中で意図しないデザインなんか星の数ほどあるわけですし。

比較するのは悪いことではないですし、全く構わないんですが、検証不十分で意味の無い曖昧な比較結果を公共の場でするのは本当に正しい行為と言えますか?自分が意図しないデザインをして、見知らぬ人に笑われてたら悔しくないのでしょうか。

「○○という理由でこのデザインにしたんだろう」ではなく「○○という理由でこのデザインになってしまったのかもしれない」と考えるのが思いやりではないですかね?比較の話に限らず、車の運転も「~だろう」ではなく「~かもしれない」という、人への思いやりがもっとあれば事故は減るわけです。

比較されたものを鵜呑みにするのは非常に楽で簡単です。なぜなら、それを比較してる人は、見る人が選択しやすいようにしているのですから。「こっちのほうが良いですよ」と訴えているわけです。たとえ、その比較方法が間違っていたとしても見た人にとっては関係ないと言えば関係ありません。正しい比較結果を用いなければ選択しちゃいけない、なんて事もありません。

ただ、世の中にある比較結果というのはこういう検証不十分なものだよな、というのは常に頭の中に置いておきたいなぁと思った次第です。人様に「こうしなさい」っていう説教ではありませんので誤解のありませんよう。

一応補足ですけど、この記事を見て「あれ?私のこと言ってるの?」と思われた方にお伝えしますけど、例に出した話も含めて、特に誰かに向けた内容ではありません。そもそもあんまり国内の方の記事読まないので誰が何かいてるか分かりませんし、他意も無いです。この記事自体、不特定な誰かと誰かを比較してしまっていますしね。