SEO業者のアイオイクスによる海外WordPressテーマを日本語化して
無料配布しているサイトの件。この事を知ったのははてブ経由で
たどり着いたてくてく糸巻きさんの記事とブコメ。
件のサイトはwordpresstheme.jp(魚拓)というドメインを使ったサイトです。
てくてく糸巻きさんの無料ワードプレステーマ によるSEO spamというエントリーで知ったので、まずはリンク先をご確認頂きたく。確かにWhoisを見るとドメイン所有者はアイオイクスになっていますね。
ドメイン名に「wordpress」を含めてはいけない
「WordPress」は商標登録されているのでドメイン名にwordpressと含めてはいけません。以前、WordPressユーザーなら知っておきたいあれこれという記事でも書きましたが、
For various reasons related to our WordPress trademark, we ask if you’re going to start a site about WordPress or related to it that you not use “WordPress” in the domain name. Try using “wp” instead, or another variation. We’re not lawyers, but very good ones tell us we have to do this to preserve our trademark. Also many users have told us they find it confusing.
If you already have a domain with “WordPress” in it, redirecting it to the “wp” equivalent is fine, just as long as the main one users see and you promote doesn’t contain “WordPress.”
“WordPress” in sub-domains is fine, like wordpress.example.com, we’re just concerned about top-level domains.
We’ve told this to anyone who has ever asked us, we just wanted to make it public so more people could be aware of this policy.
とあるように、wpはOK、サブドメインや下層ディレクトリに含める(http:wordpress.exsample.comとかhttp://example.com/wordpress/)のはOKだけど、トップレベルルートドメインでは使用できません。これは完全にアウトです。「私たちは弁護士では有りません」とあるように、ホントお願いレベルで書いてありますね。良心的に思います。僕が贔屓しているのもありますけど。この件はてくてく糸巻きさんでも記事にされていました。
追記
※トップレベルドメインとありましたが、いかなるドメイン名にも含める事は出来ません。
コメントでのご指摘、有難う御座います^^
配布されているテーマはライセンスがGPL
GPLで保護された著作物の再配布の際は著作権表示を残す必要があるんですよね?
テーマをダウンロードしてみるとReddmeテキストには
質問、バグ報告などは***(メールアドレス)までメールでご連絡ください。
Brian Gardner
と日本語に直されていますが、cssは
Theme Name: Modernpaper
Theme URL: http://www.wordpresstheme.jp/
Description: ModernpaperはWordPressのためのモダンなテーマです。
Author: WordPress theme
Author URI: http://www.wordpresstheme.jp/
Version: 1.1
と、作者(Author)もURLもアイオイクス提供の配布サイトになっています。元の作者さんの表記は一切無し。
もしかしたら最初から無いのか?と思ったけど、元テーマを見ると
うーん。。。
改変していたのは以下の2テーマでした。
他のテーマはしてない辺りを見ると、てくてく糸巻きさんの仰るSEOスパムというより、GPLを理解していない気がしないでもない。。。数十個配布していて、改変しているのは2テーマだけってのも不自然、というかそれが狙いなのかもしれないし、確証は無いですけど。
GPLで配布されたテーマはGPLでなければならない
GPLライセンスの特徴として「GPLライセンスのソフトウェアやプログラムを使用した場合、その制作物もGPLライセンスで配布しなければならない」という規約があるかと思いますが、wordpresstheme.jpの利用規約を見ると
- 当サイトのテンプレートは、個人・法人、商用・非商用サイト問わず、全て無料でお使いいただけます。ただしリンクウェアとなっておりますので、テンプレート下部の著作権表示(リンク含む)は削除・改変しないでください。
- 当サイトのテンプレートは全て加工自由であり、ご自由にカスタマイズしてご利用いただけます。
- 当サイトのテンプレートを使用した際に生じた不具合、トラブル、不利益などに関して当サイトでは一切の責任を負いません。各自の責任においてご利用くださるようお願い致します。
- テンプレートの利用に関するサポートは基本的に行っておりませんので、ご利用やカスタマイズ、トラブル対応等は各自の責任で対処をお願い致します。
- テンプレートの再配布、販売等の行為は一切禁止します。
- 当サイトで配布しているテンプレートの著作権は当サイトにあります。
- 当サイトで配布しているテンプレートの利用上禁止事項に該当すると判断した場合は、利用者に対して注意勧告し、改善の余地がないと判断した場合は法的手段をとらせていただく場合もあります。
これを見ると、色々と突っ込みどころがありますね。1の「リンクウェア」は日本独特のライセンスなんですかね?GPLで配布しなくてはいけないのでは無いのかな?6の著作権はテーマ作成者にもありますのでその点も明記すべきでは?7・・・ドメインにしろ、著作権改変にしろ、法的手段を取られてしまう可能性があるのはアイオイクスでは?詳しい方に教えていただきたいですね。。。
GPLに関してはITキヲスクさんのGPLやMITやCCなど主要ライセンスの内容と意味のまとめというエントリーで分かりやすく説明されています。以下引用。
このライセンスの要点は3点。1点目は「著作権表示を保持しなければならない+無保証である」という事。
著作権が表示された部分は必ずそのままにしておいてね。そんで、これを使用した結果いかなる損害が発生しても、責任は自分で負ってね、という事です。
2点目は、「GPLライセンスのオープンソース・フリーソフトウェアは、誰でも自由に複製・改変・頒布することが許可されている」という事。
つまり、「A」というGPLライセンスのソフトウェアを入手した場合、「A」に改良を加え「A’」というソフトウェアを制作し、それを公開したり販売したりしてもいいよ、という事です。
そして3点目。「GPLライセンスのソフトウェアやプログラムを使用した場合、その制作物もGPLライセンスで配布しなければならない」という、歪みねぇ制約。
この制約は、いわゆる“コピーレフト”という考え方である。これが最もGPLの最も特徴的な部分であり、物議をかもす点でもある。
つまり、「A」に改良を加えた「A’」というソフトウェアは、「誰でも自由に複製・改変・頒布することを許可」しなければならない。「A’」を売ってもいいけど、それが無料で再配布されても文句は言えないよ、と。
さらに突っ込むと、あなたが制作した「B」というソフトウェアのごくごく一部分にでもGPLライセンスのものを使用した場合、例えそれが1行のプログラムだとしても「誰でも自由に複製・改変・頒布することを許可」しなければならない。
GPLについてさくらさんにコメント頂きましたが、GPLにおける商用利用の問題点はこの点かなと。
[note]ゆっくり…して…イってネ!のさくらさんがGPLについて詳しく記事にしてくれました。WordPress と GPL、主にお仕事向けの話というエントリーです。WordPressに関わるのであればぜひご一読下さい。[/note]
雑感
アイオイクスが全てのテーマ改変を行っていた訳では無さそうなので、悪意があるかどうか判断しかねます。にわかに信じがたい話ですが、本当にGPLの内容を全く知らない、あるいは勘違いしている気がします。ドメイン名の商標登録の件も含めてSEOスパムというよりは知識が無いまま作成したコンテンツのような気がしてきました。
が、
やはり1企業ですから。そこはちゃんとした方がいい気がしますよ、アイオイクスさん。以前にも指摘されてる訳ですし。